価格上昇 ~H18・11・22~
各種メディアなどでも取り上げられていますが、首都圏での地価は確実に上昇してきました。
地価の上昇は色んな統計で表現されていますが、実際の取引価格はなかなか一般の方の得られる情報としては届かない事が多いと思います。

今回は地価上昇についての私見を書かせていただきます。


まず、上昇する要因には何かあったのか・・・。

税制の緩和はすでに数年前から施行されており、むしろ税制のメリットが薄れてくる状態になってきています。
借入金利に関してはすでに上昇基調に転じており、格差社会が問題になっていますが、購入されている方のほとんどは格差の中間におられる方がほとんどだと思います。
株価は一時期よりも上昇しましたが、大半の方は株式投資による利益を受けての購入ではありません。
つまり最近になってから購入しやすくなったり数学的根拠で魅力が増加したわけではないのです。


ではなぜ上昇するのか・・・。


たしかに不動産の証券化に代表されるような一部の投機的な買いが押し上げているのも事実ですが、幅広い分野の不動産が底上げされるには一般の方の住宅需要が求められます。
一般的な定価のある商品では安ければ買って高ければ見送るというのが原則でしょうけれど、後述しますが相場できまる商品は必ずしもそうではない事が多いのです。
また売る側は出来ればより高く売りたいわけですから、事情がない限りは値段が高くても欲しいという方がいらしゃればあえて安くは売らない事になります。


つまり根本的に物件は「常に値段を上げたがっている」わけです。
需要が増えれば価格が上昇するのは市場原理としては必然という事になります。


需要増に繋がる要因からするとすでに数年前から「買い時」にはなっていたと思いますが、「まだ安くなるのでは・・・」という市場心理から明らかな上昇には転じていませんでした。
むしろ値下げして販売する物件も少なくなく、一時期の新築マンションのように売却戸数が増加しても次の販売時には更に値下げ・値引きをするような下降トレンドにいました。


では今は値引きは無いのかというと、必ずしもそうではなくやはり値引き交渉の末で成約に至る事も少なくありません。
しかし、複数の購入希望者が現れると値引き交渉は事実上成立せず、結局売却希望価格に近い金額での成約に至る事になるわけです。
ただ、複数の購入希望者が現れるというのは物件に魅力(条件と価格のバランス)があるからとも言えます。
では我々が下げ止まりや値上がりの空気を感じるのはどういうタイミングかというと、その売却希望価格が割高に感じていた物件にもかかわらず上記のような理由で値引きせず(できず)に取引が成立していく時です。


つまり少々強気な価格で募集して様子を見て下げるつもりが、結果的に想定した以上の価格で取引が行われる・・・。
更に転売目的で不動産を仕入れる業者などはここにも競争原理が働くので、強気の価格でも売れると見込んで仕入れをする事になり、想定する売却価格自体が以前よりも高く設定する事になってきます。
こうなると、周辺物件自体が底上げされてきますので、比較対象から判断しても割高ではなくなっており、本格的な上昇基調を実感する事になるわけです。
価格が上昇してくると、今まで下落によって売却しにくくなっていた(売却損や借入超過)所有不動産から買い替えを検討する方も増えてきます。


余談ですが、本格的な上昇に転じる前にもう一つ体感する出来事があります。
それは、津波が来る前に水位が下がるのと同じように、市場から物件が減少し一旦品薄状態になってきます。
これは一般的な商品でいうところのプレミアではなく、いわゆる売る側の様子見状態です。
ちなみに平成18年度のマンション供給量は前年以下の見通しとの事。
これは更なる上昇を期待した値上げの為の「売り渋り」という現象です。
この辺はまた別の機会に掘り下げて書かせていただきます。


本題に戻りますが、このように価格形成にはいくつかの要素があります。
相場の世界ではファンダメンタルズ(本質的な要因)とテクニカルズ(統計学・数学的な要因)というもので価格が形成されていますが、不動産でのファンダメンタルズとは税制・金利などの政策や賃貸価格やインフレ・デフレなどによる経済事情によるもので、一万円の価値が変われば不動産価格も割高や割安になるという事です。
テクニカルズにあたるのは過去の上昇下落率と現在の位置などから、今後どのくらいの上昇までなら有り得るかの先物買い的な判断という事になるのでしょうか。(少々違う感じもありますが・・・)


しかし、私が感じる一番大きい要素は「今買わないともっと高くなってしまう・・・。」というようなマスコミなどによる情報(投資相場には風説などもありますが・・・)によって購買意欲が高まる事だと思っています。
以前のプレゼンテーションでも書きましたが、価格には絶対的な判断と相対的な判断があるわけで、それぞれの事情で「買い時」は異なります。
「今のうちに買っておこう」というのも一概に間違いではありません。
しかし、今後のライフデザインを冷静に判断してお考えいただきたいと感じています。


我々の提供する地域の一つに「はるひ野」がありますが、現在の価格は区画整理後からは新値更新の連続ですが、これはまだ「はるひ野」駅ができてから2年という歴史の浅さが最大の要因です。
他の地域では場所にもよるでしょうけど、5-10年前の相場にもまだ程遠い状態です。
下落が始まった15年以上前の価格にはまだまだですが、貨幣価値の上昇やデフレによる下落から判断して皆様は今後をどのようにお考えになられるでしょうか?


正解をお伝えすることは神でもなければ不可能ですが、それぞれの方の事情やスタンスに合わせたご相談は我々にも可能です。
相談したら「無理に勧められる」とか「断り難い」などの心配をされる方もいるかもしれませんが、賃貸も売買も50:50のスタイルで営業しておりますのでご遠慮なくシミュレーションをたてにご来社いただきたく思っております。



メールなどでのご相談にも随時応じておりますが、しばらく更新していなかったプレゼンテーションを読まれて今でもメールでの相談をいただく方は少なくありません。
私直通のメールでもご相談可能ですので、10年20年先の計画も将来のお客様と考えておりますから、どうぞご遠慮などなさらないで判断材料の一つとしてお考え下さい。
時間的に余裕のある方には即日返事というわけにはいかない事もあるかもしれませんが・・・(笑)


(K)